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司馬遼太郎 「大坂侍」の女たち
2017 / 10 / 17 ( Tue )
「大坂侍」司馬遼太郎(講談社文庫)という短編集を読みました。
幕末大坂の町人と武士が織り成す人間模様を金の力にからめて映し出しています。

6つの短編の中、3つの作品に可愛くてしたたかな女性が登場します。

まず1つ目、「難波村の仇討」のお妙

舌が短く、サ行がダ行になるような甘ったれた上方弁を使う。
色が浅黒く、目鼻立ちのクッキリした小柄な娘だ。
中年男がみれば、下唇の濡れるような魅力だろう。
そのお妙が佐伯主税という若い武士に会ったその日から、
生国魂の蓮池のそばにある出会茶屋で体をゆるしてしまった。
「みんなあげる。私、お侍が好きやもん」
若い主税は前髪を落としたばかりで、異性体験もろくになかった。
お妙の体をぎこちなく抱擁して、
「---こうすれば、よいのだろうか」
「厭」
彼女は布団の中で、身体中ではにかんで、みせながら、
「私、知らへんのに」
二人は夢中で求め合った。
お妙は、まだ熟れた年頃でもないのに、
浅黒い肌のどこを触っても、果汁が溢れてくるような娘だった。
主税はすっかり逆上してしまった。

ところが、佐伯主税の兄重右衛門は、先年とある事情でお妙の兄左平次に斬られていた。
「私の兄は貴方の仇討ちの相手です」
「ひえッ・・・」
主税は飛び起きて、道頓堀まで走って逃げてしまった。

お妙の兄左平次は仇と狙われる煩わしさを、大坂人らしく金で解決しようとする。
使用人を通して、
「五十両で仇討ちの免許状を買おう」
と持ちかけるが
「仇を討てば二百五十石(年百両に相当)の知行が戻る」
と相手にされない。
で、百両、二百両、と交渉が続いていく中・・・

主税が昼飯を食べ終えて、ちゃぶ台を片付けていると、
格子があいて、高島田に朱珍の帯を文庫結びにした船場風の娘が、
「ごめんやす」と入ってきた。
お妙だった。
「か、帰ってください」
「そんなに嫌わんかてよろしやおまへんの」
「いえ、帰ってもらいます」
「仇を持つ身の方が、そんなにお気の弱いことでどうしやはります」
「何だか妙だな」
「あがらして貰います。ね、よろしいでしょう?」
お妙は可愛く島田を傾げたかとおもうと、スイと上がりこんでしまった。
座るなり
「先日は失礼はんでござりました」
深々と頭を下げ、顔をあげてから
「でも、私は主税はんが大好き。あんさんは?」
「困る。貴女は私の兄の仇の妹ゆえ」
「ややこしい言い方でんな」
「しかし、その通りです」
「大坂では、斬る斬られるの話は。男女の心中以外にはないこと。芝居の出し物でさえ、仇討ちは嫌がられます。
西鶴はんや門左衛門はんは心中話ばかり書いてお金儲けしたはります。」
「何の用で来たのです。私と心中するように兄左平次殿から言われたわけでもないでしょうに・・・」
「そんなことを」
お妙はちょっぴり軽蔑したような顔つきをして
「私にとっては、あんさんが初めての男はんでしたんどすえ。
処女を差し上げた以上は、他の男はんに身を寄せるつもりはおまへん。
生涯あんさんにみさおを立て通します。」
「はあ、それは御勝手ですが・・・」
言ってから、主税は頭を抱え込んでしまった。
なんとややこしいことだ。
この娘を妻にすれば、仇討ちの相手が義兄になってしまう・・・。
「帰ってくれ。こんな仇討ちがあってよいものだろうか。みんなが私を愚弄している。
それというのも、私が果たし状を送る日を延ばしてきたからだ。
お妙さん。左平次殿に伝えてくれ。明日未の刻、場所は難波村八坂神社。奉行所へは当方から知らせておく。」

この後、仇討ち免許の値が三百両に上がったり、奉行所の検分役が左平次に買収されて来なかったり、
実際に剣を交えてみるがてんで相手にならず、刀を交えながら
「三百両で値が合わんようなら、おまけを付けてもエエ」
「おまけ、とは何だ」
「妹の妙やがな」
「えっ」
「味はもう判ってるはずや。ちょっと風変わりな気立ての女やが、体はわるくあるまい」
「ば、ばかな・・・」
結局、峰打ちを倉って悶絶してしまう。

(つづく)







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