始まり
2006 / 06 / 23 ( Fri ) 始まりはいつだろう。京都三条のイノダ珈琲からの帰り、彼女が腕を組んできたときか。二の腕に彼女のあまり大きくない胸のふくらみが当たり、どこかギクシャクと京阪三条までの道を歩いた。「嫌だった?」「ちょっと驚いた」その数日後、和歌山の小島住吉という海辺の町に行った。海岸で夕陽が落ちるのを観た後、日の暮れたバス停には私たち二人しかいなかった。彼女が腕を組んできたかと思うと、前に回って抱きついてきた。私も彼女の背中に腕を回して、抱きしめようとすると・・・、バスが来てしまった。
このころから、時間の問題だった。今思えば、彼女はその先を知っていたのかもしれない。私にとっては未知の世界で、でも彼女に触れてみたかったし、それが二人の関係にどんな影響を及ぼすのかを知りたくもあった。 そして、さらに数日後、梅田の毎日文化ホールで一緒に映画を見た土曜日の昼下がり、私の京都の下宿に二人で行くことになった。私は山陰地方である植物の種をサンプリングした帰りで、大き目のスーパーの袋を両手にぶら下げていた。「この種をどこかにおかないと邪魔やん」というのが下宿に行く理由であった。が、二人ともそれが口実なのは分かっていた。とにかく、二人きりになりたかった。邪魔の入らないところで。 京阪電車に乗っている間、彼女は私に身体をくっつけてきた。「私、おかしいのかな。こうしてくっついてたいんやけど・・・」彼女の身体は骨ばっているところがあるかと思うと、妙に柔らかいところがあったりする。不思議な感触だった。
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