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デート
2006 / 07 / 17 ( Mon )
その後、彼女は大学を卒業して、外資系の製薬会社に就職した。私は修士論文を書いて、博士課程に進学した。初めて2人だけで会って、デートをしたのは、その頃のことだった。2月の中頃、暖かくて春が近いことを感じさせる日のこと。「映画のチケットを2枚もらったので、行きませんか」と、電話があった。こちらとしては断る理由はなく、その週の土曜日に京阪淀屋橋駅で待ち合わせをした。

彼女は白いワンピースに茶色のコートを着て現れた。2月のバレンタインデーの直後だったので、チョコレートをくれた。「有難う」。梅田の方に10分ほど歩くと映画館がある。梅田新地の東の一角。その映画は、その年のアカデミー賞受賞作品で、大変混んでいた。結局2時間以上の立ち見を強いられた。が、初めてのデートのせいか、映画の出来が良かったせいか、そんなに辛くはなかった。映画の後、阪急32番街で珈琲を飲んだ。36階の高層階からの淀川河口の眺めは、いいものだった。その日はそれで終わり。食事もせずに別れた。

それから、月に1回くらいのペースでデートをするようになった。最初の頃は大阪で映画を見て食事をすることが多かったが、次第に京都で会うことが多くなってきた。考えてみれば京都というところはデートする場所には事欠かないところだ。植物園に行ったり、お寺や旧跡を巡ったり。洒落た食事の店も沢山あった。彼女は社会人なので、それなりの店にも入ることができ、私は心ならずもヒモ状態になっていた。

何度か喧嘩もした。しばらく会わないこともあったりしたが、絶縁することはなく、プラトニックな関係が3年ほど続いたのである。


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